観覧車を降りたあと俺と奏は遊園地を出て近くの公園に行った。
公園には誰もいなかった。俺たちはベンチに座った。
俺がなかなか話を切り出せず言葉に詰まっていると、
奏「それで?話って何?」
奏から聞いてくれた。
球次「何も言わずに最後まで聞いてくれる?」
奏「分かった。約束する。」
球次「ありがとう。」
奏「うん。」
球次「昨日病院に行って先生に見てもらったんだけど……」
俺は昨日病院の先生に言われた事を全部話した。
奏「――っ!そんな…。」
奏は泣いていた。
球次「泣くなって。助かる可能性が0ってわけじゃないんだから。」
奏「手術…するの?」
球次「どうだろ…。死にたくはないけど…やっぱり母さんや父さんに迷惑は掛けたくないっても思う。」
奏「私は――。」
奏の声は風の音にかき消されるくらいに弱く今にも壊れそうだった。
でも俺には分かった。奏は、「俺に生きて欲しい。」そう言ったのだと。
球次「大丈夫。俺は…絶対に死なないから!」
奏「うん…。」
奏は俺の肩に頭をのせながら言った。
10分くらい二人とも無言のまま過ごした。不意に時計を見るともうすぐ8時になるところだった。
球次「もうこんな時間か。もう暗いし、帰ろ?」
奏「もう少しこのままじゃ…だめ?」
球次「でももう暗いし――」
奏の顔を見て言葉に詰まった。奏の頬には涙の流れた跡があった。
球次「分かった。もう少しこのままでいよっか。」
奏「うん。ありがと。」
俺と奏はそのまま何も言わず幸せな時間を過した。
To be continued...