俺と奏はゆっくりと上っていく観覧車の窓から夕焼けを眺めていた。

奏「きれいだね…」

球次「そうだな。あと何回見られるかな…(ボソッ)」

奏「なんか言った?」

球次「いや、何でもないよ。」

奏「そう?ならいいけど。」

球次(話しておいた方がいいのかな…)

奏の楽しそうな横顔を見ていると自分に突きつけられた現実を話す気になどなれなかった。

「ガタンっ!」

なんの前触れもなく観覧車が止まってしまった。

球次「奏、大丈夫か?」

奏「うん。大丈夫。でも観覧車ちゃんと直るかな…」

アナウンス「ただいま何らかの原因で観覧車が停止しています。復旧までもうしばらくお待ち下さい。」

奏「なんか怖いね。」

球次「大丈夫。すぐ直るよ。」

奏「そうだね。」

球次(どうしようか。今ここで全てを話してしまえば俺は楽になる。でも奏は…)

奏「どうしたの?そんな難しい顔して。」

球次「ちょっと考え事しててね。」

奏「じゃあその悩みをお姉さんに話してみなさい!」

球次(それを今悩んでるんだけど!?)

奏「私にも言えない事?」

球次「そうじゃなくて。これを話したら奏の事を苦しませるんじゃないかと思って。」

奏「私は球次の彼女だよ?どんな事でも話して球次が楽になるなら話して欲しい。」

球次「…分かった。ありがとう。」

奏「どういたしまして。」

球次「実はーーー」

アナウンス「大変失礼いたしました。観覧車が直ったので運転を再開します。」

球次「この話は降りてからにしようか。」

奏「そうだね。」

俺と奏は観覧車から降りるまで夕焼けを眺めていた。

球次(今度こそはもう迷わない!奏は現実を知ったらなんて言うかな。)


To be continued...