県大会があと一週間まで迫っていたある日の帰り道、

奏「今の球次と楓太なら県大会もいいプレーできるんじゃない?」

球次「そうだな。昨日楓太とそのこと話してて目標たてたんだ。」

奏「その目標とはなんですか?」

球次「決勝まで行こう。そして優勝しちゃおうぜ!ってね。」

奏「球次たちならその目標もクリアできると思うよ。」

球次「ありがと。…もう奏ん家か。じゃあまた明日な!」

奏「バイバイ!」


球次(決勝かそこまでなら無茶しても文句は言われないよな。)

ガチャ

球次「ただいま!」

母「お帰り。話があるからちょっと来て。」

球次「待って手洗ってくるから。」


球次「話って何?」

母「私が再婚するって言ったらどう思う?」

球次「え?」

母「お父さんが死んでから結構経つし…でも球次が嫌ならこの話はなしにしても。」

俺の父さんは漁師をしていた。しかし俺が物心つく前に海で死んでしまったのだ。

球次(そっか、母さんも一人で俺を育ててくれたんだよな。これまで俺はいろんなわがままを言ってきた。母さんにも幸せになってほしい。)

球次「母さんがその相手といて幸せになれるなら俺は絶対に反対しないよ。」

母「球次…、ありがとう。それで突然なんだけど今週の土曜日は部活がないって言ってたでしょ?」

球次「うん。でもどうして?」

母「一度会ってほしくて。どお?」

球次「分かった。土曜日はやることないし。でもどこに行くの?」

母「内緒!」

球次(あんた何歳だよ…)

球次「じゃあ今週の土曜日ね。」

この日は夕食を食べながらいろんな話をした。話をしているときの母の顔はとても幸せそうだった。

そんな母の顔を見ていると俺の心が締め付けられるような感覚になる。

球次(母さん…ごめんね。まだ秘密にしておきたいから。)

余命のことを言ったら母さんはまた悲しい思いをする。母さんには幸せになってほしい。笑っていてほしい…。



To be continued...