これは夢なの?

私、そんなに男に飢えているの?


こんな夢を見るなんて教師として情けない。



「夢じゃない。俺、男だから」



それにしても雅=男なんていう発想はどこからきたんだろう。

私にそんな想像力はなかった気がするんだけど。


「おい」


頭に重い手が置かれ、反射的にしゃがみこんだ。


「あのねぇ!!」

「頭触られるの嫌いなんだろ」


……。

それ、知ってるのは、家族と雅くらい。


「……夢じゃない?」


信じたくない。

唯一信じてた、雅が男だったなんて。


「…もしかして、性転換した?」

「ちげーよ。産まれてきた時から男だ」


「…信じられない、ずっと騙してたのね」

「悪い。けど気づかない方もおかしいと思うが」


雅の顔なのに、雅じゃない。

雅の口から出るのは低い声で。


「…何で、騙してたの」


「話せば長くなる。先にシャワー浴びとけば」

「…うん」


口調はそのまま、雅だ。

素っ気ないけど優しい雅が私は大好きだった。


その、雅に、騙されていたなんて。