5
高い場所は気持ちよく、開放感に溢れ、俺は伸びをしながら深呼吸をする。
ノゾミが何気に手を掛けたドアが簡単に開いた。
ノゾミが係わると物事が突拍子もない方向へ進んでいく。
ノゾミと出会った衝撃が、すでに俺をそんな風に思わせているのだろうが、確実に俺は影響を受けているから、まんざら嘘でもない。
そこにくすぶる、まだノゾミが話そうとしない、なんらかの秘密。
これは一体どんなことなのだろう。
三ヶ月後、それを訊くのが待ち遠しくなって、俺はゲームの駒を進めているような気分だ。
さらに上がりには一億円が待っている。
果たしてそれを手にするのか。
人生ゲーム、リアルバージョン──
なんだか、ふざけたキャッチコピーを作ってしまうくらいだから、俺はまだ現実に起こってることとして受け入れてない。
ノゾミの横顔を見れば、彼女はどこまでもまっすぐに前を見ている。
口元を固く結び、真剣な眼差しを虚空に向けて、深刻な事のように考え込んでいるようだった。
どうせその理由を訊いたところで、彼女はきっと何も言わないだろう。
だから俺は、黙って同じように彼女が見ている方向を見つめた。
そのうち彼女がくしゃみをしてしまい、振り向けばまた彼女は顔を赤らめて恥ずかしそうにしていた。
「そろそろ、帰るか」
「はい」
俺が歩き出せばノゾミも俺の後をついて来たが、後ろを振り返ってまだ名残惜しそうにしていた。
「ここが開いている事を誰にも言わなければ、また戻ってこられるさ」
「バレないといいですね」
「よほどここが気に入ったんだな」
「はい、いつもと違う新しい世界が広がってるのを感じられるんです。先輩と一緒にそれを見られたこともとても嬉しかったから、私には特別のように思えてしまいました……」
語尾が尻すぼみになりながら、俯き加減にはにかんでいる。
恥ずかしいのに、それでも俺に伝えたいと踏ん張ってたのかもしれない。
「そっか、俺といると世界が違って見えるってことだな」
つい茶化したくなって粋がって言ってみた。
「その通りです」
ノゾミは俺に合わせるために一生懸命笑おうとしていた。
でも、瞳は涙を溜めこんだように潤い始めた。
それを隠すように俯き、さりげなく目元に触れながら、涙をぬぐう。
また感極まったのだろうか。
ノゾミはとにかく俺が絡むと、感情が刺激されるようだった。
高い場所は気持ちよく、開放感に溢れ、俺は伸びをしながら深呼吸をする。
ノゾミが何気に手を掛けたドアが簡単に開いた。
ノゾミが係わると物事が突拍子もない方向へ進んでいく。
ノゾミと出会った衝撃が、すでに俺をそんな風に思わせているのだろうが、確実に俺は影響を受けているから、まんざら嘘でもない。
そこにくすぶる、まだノゾミが話そうとしない、なんらかの秘密。
これは一体どんなことなのだろう。
三ヶ月後、それを訊くのが待ち遠しくなって、俺はゲームの駒を進めているような気分だ。
さらに上がりには一億円が待っている。
果たしてそれを手にするのか。
人生ゲーム、リアルバージョン──
なんだか、ふざけたキャッチコピーを作ってしまうくらいだから、俺はまだ現実に起こってることとして受け入れてない。
ノゾミの横顔を見れば、彼女はどこまでもまっすぐに前を見ている。
口元を固く結び、真剣な眼差しを虚空に向けて、深刻な事のように考え込んでいるようだった。
どうせその理由を訊いたところで、彼女はきっと何も言わないだろう。
だから俺は、黙って同じように彼女が見ている方向を見つめた。
そのうち彼女がくしゃみをしてしまい、振り向けばまた彼女は顔を赤らめて恥ずかしそうにしていた。
「そろそろ、帰るか」
「はい」
俺が歩き出せばノゾミも俺の後をついて来たが、後ろを振り返ってまだ名残惜しそうにしていた。
「ここが開いている事を誰にも言わなければ、また戻ってこられるさ」
「バレないといいですね」
「よほどここが気に入ったんだな」
「はい、いつもと違う新しい世界が広がってるのを感じられるんです。先輩と一緒にそれを見られたこともとても嬉しかったから、私には特別のように思えてしまいました……」
語尾が尻すぼみになりながら、俯き加減にはにかんでいる。
恥ずかしいのに、それでも俺に伝えたいと踏ん張ってたのかもしれない。
「そっか、俺といると世界が違って見えるってことだな」
つい茶化したくなって粋がって言ってみた。
「その通りです」
ノゾミは俺に合わせるために一生懸命笑おうとしていた。
でも、瞳は涙を溜めこんだように潤い始めた。
それを隠すように俯き、さりげなく目元に触れながら、涙をぬぐう。
また感極まったのだろうか。
ノゾミはとにかく俺が絡むと、感情が刺激されるようだった。



