先輩、一億円で私と付き合って下さい!

 待てよ、抽選日が7月6日という事は木曜日。
 ロト6の抽選日は毎週月曜と木曜に行われる。

 するとこれは4日から6日の時間内に購入しなければならない。
 あの時、期末テストがあった週だから、終わったのが5日だった。

 その日、俺はノゾミの家に訪ねて行った日だ。
 あの時、ノゾミは買い物をして帰ってきたが、その時ついでに購入したに違いない。

 俺のためにケーキを作ろうとして、材料を買ってきた。
 それが以前作りたいと言っていた約束のケーキだった。

 だからあの時、帰り際にこれで約束が全て果たせたと思って、俺に別れを告げた。
 一億円を書留で送る事も言っていた。

 書留も、わざわざこの約束の日を指定して、送って来たに違いない。
 全てに意味がある。

 これはノゾミがあらかじめ分かって、やっていたという事だ。

 一億円と三ヶ月の期限の理由──

 そんな馬鹿な。
 そうしたら、自分が死ぬこともわかっていたという事になってしまう。

 まさか。
 一体どういう事だ。
 どういう事なんだ。

 俺は思い立って、家を飛び出した。