ユメが作ってくれた朝ごはんを、ちゃぶ台を囲んで皆で食べる。
 目玉焼きに、トースト、コーヒー、そしてセールで安かったという買いだめしていたヨーグルトを出してくれ、俺は遠慮なく頂いた。

 異母姉妹だけども、二人を見ていたら普通の姉妹と変わらない。
 よく見れば、この二人にも共通点があった。

 ノゾミの目の形が、姉の目の形となんとなく似ていた。
 今、ユメは化粧前のすっぴんだから、それが良く見えた。

「天見君、何をそんなに私の顔を見てるのかしら。そんなにすっぴんだと別人に見えるって言いたいの?」
「そうじゃなくて、姉妹だから似てるところがあるなって、思ったんです。化粧してたらわからなかったです」

「だって、姉妹ですもの。ねっ、ノゾミ」
「うん」

 ユメはいい姉になろうとしているのが良く見える。
 そんな姉をノゾミなら益々好きになって行くことだろう。

 俺はこれからセイとどう向き合っていくべきなのか、この姉妹を見ながら色々と考えていた。
 でもまだすぐには気持ちを切り替えられない。

「だけどさ、どうして俺の弟と知り合ったんだ?」

 何気に浮かんだ疑問だった。

 トーストをかじろうとしているノゾミに顔を向けると、ノゾミは持っていたパンをお皿に置いた。
 そして下を向いて黙り込んだ。

「どうしたのノゾミ?」
 ユメが俺を代弁して訊いた。

 俺たちがじっと見つめていると、答えざるを得なくなって口を開く。
「覚えてない」

「ノゾミ、なんか隠してるでしょ。余程、人に言えない出会い方なの? それだと益々知りたくなるじゃない」

 ユメが突っ込んでもノゾミは頑なに口を閉じ、首を横に振るだけだった。
 それがとても不自然で、俺は妙に納得できないものがあった。

 まるで俺が知ってはいけないような──

 そんな時、鋭い目をした男の顔が一瞬頭に浮かび、すぐさま消えた。
 あれ、俺、もっと早くにセイに会っていたような気がする。

 思い出そうとすると、逃げるように記憶が消えてしまった。
 ノゾミを見れば、何事もなかったように、またトーストを手に取り、口元に運ぶ。
 小さく口をあけ、もそもそと元気なく食べていた。