私は朝からとても緊張している。ドキドキとワクワクと不安と。だって今日は2年生になる日。後輩が出来るし、スカートもちょっとなら折っていい。でも心配なのは、1Bの友達が同じクラスにいてくれるかどうか…。悩んだってしょうがない。なるようになるんだ。
「ママ、行ってきまーす」
「いってらっしゃい、晴香」


運がないのか、今日は雨。傘で制服を庇うけど、あんまり効果はない。
「朱里、ごめんー」
いつもより遅刻。クラスは1度も同じになったことないけど、小学校が同じだった京田 朱里(きょうだ しゅり)。部活が一緒になったことや、家が凄い近いことから、登下校は共にしている。
「大丈夫よー」
いつもながら私の遅刻に寛大で、あまり怒らない。私は朱里の元へ駆け寄って、2人はそのまま歩き出した。


しばらくすると大きな坂がある。その下には我が田坂1中の正門が見える。正門を過ぎれば大きな校庭。足元の桜の花びらも、雨で湿って少しばかり土の茶色に染まっている。

ふと前に視線を戻すと、皆ががやがやと話している。先生達が何やら紙を配っているみたい。
「おはようございます。紙を貰ったら、そのクラスの教室へ向かって下さい」
前担任、加藤先生の言う通り、私は紙を受け取った。そしてじっと自分の名前を探す。
「多田 晴香(ただ はるか)…多田 晴香…あった!B組だ!あちゃー、元1Bいるけどあんまり仲良くなかった人だ。朱里何組?」
「私E組。またバラバラだー」
「またかー(笑)」

私たちは話しながら下駄箱で靴をしまい、洗いたての上履きを履いて階段を3階まで上った。
「じゃ、私ここだから」
階段上ってすぐ左からE、D、C、B、A。Fは階段の右側。
「またねー」
私はそう声をかけてまた歩いた。



「うーん…」
席がイマイチわからない。これどーやって見るの?あー、くっそー!
「…あれ、柿の人…?!」
「え??」
不意に後ろから声が聞こえたと思ったら、髪に多少ボリュームがある男の子が立っている。
見たことあると思ったら、1年の時の合唱コンで、知りもしない他クラスの男の子にあげたな、そういえば柿。
「あぁ、あの時の…」
「そうそう、覚えててくれた?」
なんとなく会話が弾んだ。これが後の親友の1人になるとは、思ってもみなかったけど。




私は彼が話しかけてくれたおかげで席につけて、前の席の女の子とも話すことが出来た。
やっと始まる、新学期。
新たなクラスは2年B組。

友達ができるか心配です。