海村・・・・そこに昔、村長の一人娘、桜と言う女性がいた。髪が長くて美しく整った顔は村長の親の誇りだった。だが、ある年の冬、都市開発の為刀坂家の頭首がやってきて村長と話しをつけにきた。頭首と言っても若く顔立ちも桜と変わらないくらい美しかった。だが、顔と村とは別にだ。村長は都市開発にこの村を売ることは許そうとはしなかった・・・・
 だが、どこから聞きつけたのか村長の娘は美人だと・・・・頭首はここを無理矢理、村を買い付けたり取り上げたりすると、脅してきたのだ。その代わり村長の娘、桜を捧げれば村はとらない、金もそれなりにやると言ってきたのだ。村人の半数以上がそれに賛成していた・・・・この年は作物が取れにくく金に皆、困っていたのだ・・・。村長は考えた、村人の事を考えると村長は苦渋の決断をした。
 「娘をやろう、その代わりに私の代で泡沫家は終わってしまう。養子を下さい。」
村長は村人の為に娘を嫁に行かせる事にした。だが、娘の桜は嫌がった。桜には恋人がいたのだ佐藤家の次男、凛と言う人がいた。それを村長は知らなかったのだ。だが村の為、ただの農民である佐藤家にも影響は大きかった。
 嫁に行く前に桜は精神を病みはじめた、佐藤家の凛は海に近い座敷牢に入れられた。寒い冬の事だった。
 「4月になると桜が嫁に行くだからここで待てと言われた。」
 だが、凛も黙ってはいなかった村の為とはいえ人を捧げるとは、卑怯者めと食事を届ける人々に言った。だが皆、聞く耳を持たなかった・・・・