佐藤 凛は爺さん一同に礼を言って、今持ってる服で上等な物を見繕った。デートには冴えない服だな相変わらず僕は僕だからな。鏡を見ながらそう思った。
 凛は海へと行くために山を下りはじめた。できるだけ人に会わないようにとルートを決めていた。そのおかげか全くと言っていいほど人には会わなかった。少しだけ遠回りだが中村と爺さん達は一所懸命、この道を見つけてくれたのかと思うと感謝のかぎりだ。
 道を歩いているとピンク色の綺麗な桜が咲いている寺を見つけた。おおきな根をはらせその姿は自分の美しさをこれでもかと見せるほど桜が咲いていた。また、散る様も、はかなげでありながらも春に命を燃やす強さを見た。綺麗だ・・・・立ち止まってると
 「君も綺麗だと思うかい」ここの住職さんだろうか?綺麗な袈裟を着て、優しげな目にツルツルの頭、とても高徳なお坊さんのようだった。声色からして警戒心を和らげるような声だった。
 佐藤「はい。力強さがあって綺麗ですね。」
 住職「何かに惹かれた目をしているね。デートかな?」少しだけ驚いたて、頷いてしまった。
 住職「余り、殺生は良くないがこれを彼女さんにも持って言ってあげなさい。」桜の花がたくさんついてる所を折って、花束にしてくれた。「こんなことは、やらないのだか君を見てると切なく見える。そんな顔してないで笑いなさい。」
 佐藤「ありがとうございます。気ずきませんでした。綺麗な花束きっと彼女も喜びます。ありがとうございます。」
 住職「彼女さんを待たせては行けないよ。さぁーお行き。」
 頭を深く下げた。こうやって人を見てくれる人もいるんだと思うとまた、元気な気持ちになった。笑って過ごせるといいな。僕は胸に桜の花束をもち海へと急いだ・・・