しばらくして、ゆっくりと隣を向いてみる。 「あ、やっとこっち向いた! 聞こえてなかったかと思った」 そんなわけないよな、ってその男の子は笑っている。 間違いなく、こちらを見ていた。 これで私を見ていないなら、壁に話しかける変人だ。 「古谷 瞬」 「はい、俺です!」 先生の声に手を挙げて返事をする、お隣の男の子。 その横顔を見て、私は気づいた。 あ、あの時の…! 古谷君……同じクラスだったんだ。