翔馬の質問に莉沙が小さな声で答える。




「話したら長くなってしまうんですが…」




優しく笑みを浮かべながら翔馬が
「全然構わないよ」と答えた。




「2年前のことなんですけど…」




莉沙は優人との出会いや、2年前にした約束の話、約束の日に優人が現れなかったこと、




そして今日偶然優人を見つけたことなどを包み隠さず翔馬に話した。





「そうなんだ、それは優人が悪いな。」




この話を誰かにするのは初めてだった莉沙は、翔馬に共感してもらえたのが嬉しかった。




「あ、そうだ、今度うちの学校で文化祭あるから来なよ。俺が優人にガツンと言ってやるから」




立川さん優しいなあ…。



莉沙は翔馬の提案に乗り、文化祭に行くことを決めた。




「今日は色々話してくれてありがと、一応lime交換しない?」




「は、はい!」




二人はお互いのスマホを近づけてlimeを交換した。




「それじゃ、また文化祭の日にlimeで連絡するわ」




話しが長引きすっかり辺りが暗くなってしまい翔馬が莉沙を家まで送って行くことになった。




莉沙の家の前に着くと、翔馬は莉沙の親に少し帰りが遅くなったことを律儀に謝罪した。




「今日はほんとにありがとうございました」




莉沙が翔馬にお礼を言うと、翔馬は軽く手を振り帰って行った。




乙部大学の文化祭楽しみだなあ。
優人さんに会えるかな…




そんなことを考えながら莉沙は家の中に入る。




翔馬が家に帰っている途中、




プルルル、プルルル…。





翔馬のスマホに優人から電話がかかってきた。






「あー、優人? さっき莉沙ちゃんと話してきた。文化祭呼んどいたからな。」






「ありがと、助かる」






そう言って優人が電話を切った。