朝のHRが終わり、ゆずが後ろからあたしの背中を突いてくる。
「もお〜なに。ゆずーー」
「ねえねえ、名前もかっこいいんだね」
あぁ坂下くんのことか。
ゆずが言いそうなことだ。
「おい、おい、誰がかっこいいって?」
その会話に入って来たのは、席の隣の 飯田技 秋 ( いいたぎ しゅう )。
「安心して、飯田技じゃないから」
すぐさま、突っ込むゆず。
「なんだよー、俺だってチヤホヤされたいなー」
秋は口を尖らせて言う。
そんなことを言うけど秋は、背も高くて顔も小さく小中とモテモテだった。
「あ、そーいえば、沙羅とゆず、お前ら俺を朝置いて先学校行っただろ」
秋は怒り気味だ。
「あーごめんごめん」
あたしとゆずは顔を見合わせ笑いながら秋に謝った。
秋は、あたしとは腐れ縁というか幼なじみともいうのかな。
幼稚園の頃にあたしが引っ越してきてから隣の家で、家族絡みで小さい頃からよく一緒にいる。
「そういえば秋、今日からサッカー部の仮入部だよね?」
あたしは秋=サッカーだと思っている。
それくらい、秋は小さい頃からサッカーだけはやめずに続けてきた。
「そうなんだよ、だから今日から沙羅とは帰れないかな〜」
「あたしはゆずと帰るから平気だよ〜だから頑張ってね!」
あたしは秋にガッツポーズをした。
秋もそれをみてガッツポーズを仕返してきた。
秋は、あたしにとってお兄ちゃんであり弟みたいな存在。
上手く言葉では表せない。

