桜振る頃




今日も快晴だ。最近はほとんど晴れてる。

あたしの心みたい。なんてねっ。


「ねね、そういえばさ。秋ってさ、前の彼女…美咲ちゃんと別れてから他の人と付き合ってないよね?」



「そうだけど、急になに〜?」



「じゃあさ、美咲ちゃんが初恋??」


私は興味津々で、秋の顔を覗き込んだ。


秋はあたしから目だけじゃなく顔ごと逸らした。

「違うけど〜〜」



あっさりと返されたけど、あたしはびっくりした。


「えっ!美咲ちゃんの前にも好きな子いたの!?」


「だったら、なんだよ」


この話が嫌なのか違うところを向いたまま。


「え、あたしまだ一回も好きな人出来たことない」


その言葉にびっくりしたのか、さっきまで違うところに向いてた顔があたしの方に向いた。



秋の顔を覗き込んでたままのあたしの顔と、秋の顔はすごく近くて、不意にもドキッとした。


先に逸らしたのは、あたしだった。


「まぢか」

少し呆れた顔をしてる秋。


「もう高校生なのにおかしいかな…?」


「まあ…好きな人いるって言われるよりよかったかな」


「え?どーゆー意味?」


秋の言ってることが全く理解できていない。


「ふふっ。沙羅が彼氏と歩いてるの想像できないっ笑」


秋はクスクス笑ってる。


「ねえ、絶対ばかにしてるでしょ。あたしだって高校生の間に好きな人作って彼氏の1人や2人つくるんだから」


あたしは頬を膨らませてみせた。


あたしの頬は秋の両手につぶされた。


「まあ、いいんじゃねー。沙羅らしくゆっくりいけば」


「そうだよね〜、ありがと」


そんな話をしてるうちに学校に着いた。