「お母さんって、秋が来る時いつも機嫌よくなるよね〜」
「沙羅は知ってると思うけど私、秋くん大好きなのよ〜」
「言うと思ったよっ」
あたしのお母さんは本当に秋が大好きで、いつも秋には優しい。
「秋くんはイケメンだし、優しいし気配りができるし、あんなにいい子ちゃんはいないよ」
相変わらず、お母さんは秋にべた惚れだ。
その時、ドアが開いた音がした。
「おじゃましま〜す」
秋の声だ。
「あらあら、秋くん。どうぞ上がってー」
秋は、リビングに入って来た。
お母さんは、さらに機嫌が良くてきた。
「呼ばれる前に来ちゃった」
秋は満面の笑みをお母さんに見せた。
秋の笑顔を見て、お母さんはますます機嫌が良くなる。
「あれ、秋。その手提げなにー?」
秋は普段手ぶらでくるのに、手提げを持っていてたから疑問に思って聞いてみた。
「あー、今日沙羅ん家泊まらせてもらうから〜」
「ええーー!」
私は思わず大きい声を出してしまった。
「沙羅、何大きい声出してるの?中2のころまでよく秋くんウチに泊まってたでしょ?」
「まあ、そうだけど…」
お母さんは、ニコニコしている。
だから、今日はいつもより機嫌がいいんだ。
今更納得をした。
「そうだよ、沙羅。そんなに驚くことないだろ」
「いや、思春期の男女が同じ屋根の下ってお母さん何も思わないの!?」
お母さんは声を出して笑い出した。
「何言ってるの沙羅。秋くんが沙羅のこと襲う訳ないでしょ〜」
秋とお母さんが顔を見合わせて大笑いしいる。
「なにそれ。あたしが何の魅力もないみたいに2人してバカにして」
「あはは。本当のことでしょ〜。ご飯できたから食べましょっ」
自分でも分かってることだけどお母さんに言われるとなんかやだ。
お母さんはまた鼻歌を歌いながら、テーブルにお皿を並べた。

