SE:タッタッタッ(駆け寄ってくる龍司)

龍司「旅館の場所、分かったぜ。待たせたな―――」
郁美「待ったわ、たわけっ!」
龍司「何怒ってんの…ってお前、郁美じゃないな?(はっ)おいっ、しかも何で刀出してんだよ、中の人っ!」
郁美「貴様が遅いから『依り代』の身に危機が迫ったのじゃ!
   …それにしても現世の者共は根性の無い…『すめらぎ』を見ただけで逃げだすとは…」
龍司「すめらぎ…?」
郁美「ワシの牙の名じゃ」
龍司「へぇ、名前があったんだ、その刀…」

SE:チャキッ(鞘に刀を収める郁美)

郁美「当たり前じゃ。万物全てに名前はあろうが」
龍司「ふーん…じゃ、お前の名前は?」
郁美「ワシに名など無い。ワシは実体を持たぬただの『月の意思』じゃからの」
龍司「でもなぁ~、郁美じゃ何か変だし、中の人ってのも2ちゃんねるっぽいし、
   月の意思さんってのはますますイタイ人みたいだしなぁ――――」
郁美「馬鹿馬鹿しい、どうでもよいわっ」
龍司「――――牙月(かづき)っのはどう?」
郁美「牙月…?」
龍司「そう、お前の牙と月で『牙月(かづき)』。うんっ、そうしよう!今日からお前は牙月だ」
郁美「―――――――っ!」

SE:ザッザッザッ(歩き出す郁美)

龍司「おい、牙月!どこ行くんだよ?バスは―――?」
郁美(以下、覚醒時は牙月)「歩くぞ。貴様の鍛錬に付きおうてやる」
龍司「え、急にちょっと…待てよっ!おい、牙月~~~~」
牙月(――――――――ふん、何かこそばゆいのぅ…)