結局俺は、闇の中で出会った『白咲結衣』の正体が分からないまま、ベッドの上でボーッとしていた。と、ふと外の空気を吸いたくなり、ぶどうゼリーは食べかけのままで病室を後にした。
階段には、スリッパのパタパタという音が響いている。まだ病気は治ってないし、体調が悪化しても嫌だからゆっくりと階段を降りる。
外に出た。外は、澄みきった青空だ。俺は深呼吸をしようとしたのだが、喉が痛くて思わずせき込んだ。
「ゲホゲホッ!ゴホンッ!」
コンクリートの地面には、真っ赤な血がボタボタッと落ちた。目の前が真っ白になった。俺は、夏の熱くなったコンクリートに倒れ込み、意識を失っていった…