朝になった。なぜ、あの子は闇の中で「ごめん ありがと」と俺に言ったんだろう…そして、あの闇でなぜ泣いていたんだろう…俺はそれが気になって、直接本人に聞くことにした。

ガラッ…あれ?誰もいない…もしかして、もう退院したんだろうか?廊下の看護婦さんに聞いてみた。
「あのー…ここの病室にいた女の子って…?」
「あなた…あの子と仲良くしてくれてたの?」
「え?あ、まぁ…はい。」
(仲良くというか、名前も知らない初対面だけどね…)
「あの患者さんね、実は昨夜…亡くなってしまったのよ。まだ10代なのに…可哀想にね…」
と、看護婦さんは残念そうに告げた。
「え……?そ、そうですか…ありがとうございました……」
その時、俺はまだ目の前にある現実を、受け入れられないでいた。
(嘘だろ…あの子が死んだ…?あっ、あの闇ってまさか、現実の世界と繋がってるんじゃ…?!)
こうして俺は、女の子の住んでいる所も、笑った顔も、名前さえも知らないままに、最後のお別れとなってしまったのだった……