気が付いたら、好きになってた。


-旬side-


「ありがとう旬」


目の前で自分と俺の手首を交互に見て

子供みたいに嬉しそうにする桃菜




さっきは、やばかった。

ブルーシートの中で誰も見ていないことをいいことに

思わず...危ない所だった。


「でもっこれいつの間に!?」


大きな目をいっぱいに広げて

自然な上目遣いで見上げてくる桃菜に

「言わねーよ」と頭を軽く撫でた


するとあからさまに照れ笑いなんかする


...なんなんだよ、本当。


だめだ、もうだめかもしれない。


「あの、さ俺...」

「「あっいたー!!!桃菜!!」」



...くそ。


俺がついに決心しようとしたとき

席の上のほうから桃菜を呼ぶ声がして

見てみれば

朝グラウンドにいた桃菜のグループのやつらがいた


「あっみんなー!」

しかも桃菜のやつ俺のことなんかもう忘れたように

鞄置きっぱなしで駆け寄ってさ


「もうー心配したんだから!バカ!」
「松田ケータイは?」

「圏外だったのー!....あれっ治ってる!!」
「はぁーもう全く」



...もう俺の出番はないということ、だな


俺は桃菜の鞄をもって階段を上がり

4人のもとへ近づいた


背を向けている桃菜以外の3人が

じっと俺を見るのが分かった


「おい、忘れ物」


俺は後ろから桃菜に鞄を渡した


「あっわっ旬!ありがとう!!」

「じゃーな」


そしてそれ以上何も触れずにその場を後にした



ちらっとケータイを見る

圏外なんかアイツがトイレに行っているころにもう

解除されていた。