移動はクラスごとのバスがほとんど
あたしたちは1番最後のグループなので
必然的に1番後ろの5人掛けの横並びの席に座った
バス内はガヤガヤと
みんなの楽しそうな声でにぎわっている
これぞ、修学旅行って感じ
なんだけど...
朝早かったせいか、気が付けばバス全体が
静まり返りみんなして眠っていた
次に目覚めたころには少し薄暗くなった夕方で
国際通りに面したホテルに到着したばかりだった。
「じゃあそれぞれグループリーダーがまとめてチェックインして、あとは21時までにこのホテルに戻るように。自由行動だ」
リーダーは類くん。
「青木、ちょっと俺の荷物頼むわ」
「おう!任せとき~」
類君はそそくさと立ち上がると一目散にバスを降りて
ホテルの中へと走っていった
残された3人でバスの下から出される荷物を受け取り
ロビーに向かう
「うわぁ、ホテル古ッ!」
エリカが眉間にしわを寄せた
「まぁまぁ、こんなもんじゃね?最後2日間はすげぇらしいし?」
「んま!許すとしますかっ」
しばらくして類くんが戻ってくると
あたしとエリカは部屋のカギを受け取り
2人とは
15分後にまたこのロビーで待ち合わせをすることにした
5階に向かうためエレベーターに乗り込む
まだまだ全クラスの生徒がいるはずだったけど
類くんが早めにチェックインしてくれたおかげで
ガラガラ状態
「ねぇ...」
「なに?」
エリカが急に神妙な顔でこちらをみた
....えっなになに、怖い
「さっき...さ」
「うん」
「あたしと青木が隣だったでしょ?席」
「あっうん」
そう、バスの座席は乗り込んだ順に座ったから
端から類くん、青木君、エリカ、そしてあたしだった
「で、普通に寝てて あたしホテルに到着する前。だからみんなが起きる少し前に目覚めたのね」
「うん...」
「そしたら青木があたしの右手握ってて」
「....えっえぇ!?」
なになにその急展開!?
あたしが思わずびっくりしたところで
エレベーターは5階に到着
エリカが先にキャリーと鍵を片手に降り
狭い廊下で前を歩きだした
「なんでか、わからないの」
「えっもしかして青木君って...エリカのこと?」
「うーん...でもね、あたしも不思議と嫌じゃなくて」
後ろからチラッと見えるエリカの小さい顔
気のせいか頬が赤く見えた
「そっか...」

