「じゃあグループ分けの案がある人はいますか?」


教卓の前で委員長が修学旅行について話し始めると

教室はざわざわと騒がしくなった。



ふと視線を感じて斜め前を見ると


エリカがニヤッとあたしをみていた


なに~と口パクで睨んでみせると


クスッと笑うエリカ。




エリカが前を向きなおしてから、ふと右の端のほうへと目を向けると

類君は周りの男子と騒いでいた



...一緒になれたら、なぁ



なんて無理だよな


「それじゃあ自由にします!」


どーせくじ引きだし

と諦めかけたあたしの耳に入ってきたのはそんな言葉だった。

「「やったーー」」

クラス中がさらにヒートアップする中で


委員長の『男女4~5人のグループでお願いします』という声が

はっきりと聞こえた瞬間


「桃菜~」とエリカが駆け寄ってきた。


「やったじゃん!なろ♪」

「うんっもちろん!」


嬉しすぎる!!正直クラス替えしてそんなに色んな女子と話したことまだなかったから...なんて心強い!!


あたしが嬉しくてエリカにぎゅっと抱き着いたのもつかの間


「とりあえずこれからが問題よ!類をどうやって連れ出すか....」


エリカは騒ぎ立てる教室内でコソッと小さくそう言った


ふと類君の席のほうを見ると


男女ともに囲まれ 真ん中で笑う類くんが人影からチラッと見える程度。


...あんなところに入る勇気は、ない。


「いいよ仕方ないから諦めよう」

そう言いかけたとき、エリカが「類~」と叫んだ。


「はっえっエリカ?」

あたしはぐっと椅子に座り込んでエリカの制服の袖を引っ張った。

「な...なに叫んでるの」

上から見下ろすエリカはかわいくウィンクをしてみせる


すると「エリカ呼ぶのおせーよ」

聞きなれた声がしてみれば目の前には笑顔の類くんがいた。


「いやだって類めっちゃ囲まれてんじゃん!さすがモッテモテ~」


フーフーと肘で類くんをいじるエリカ。



そんな様子を見て呆然としているあたしに気づいたのか


類君は座ったままのあたしの目線に合わせてしゃがむと


「松田一緒になろうぜ」とクシャっと笑った。


「あっ...うん」



驚きを隠せない...

だってさっきまで輪の中心にいたのに

エリカの一言で...えぇっ!?

でも...嬉しい。


するといつの間にか類くんは「青木~」と男子を1人呼んで

連れられてきたのは確かサッカー部の子だった。


「これで4人でいいよな!俺、委員長に申請だしてくるわ~」


手際のいい類くん。


あっという間にグループになったあたしたち4人は


それからみんなが決まるまで机の周りに集まって

行きたいところなどピックアップして話していた。