気が付いたら、好きになってた。




「あっ、てか!1組なんだね!すごいじゃん特進!」


あたしはその空気を取っ払いたくて


わざとらしく話題を変えた。



「あーまぁ、お前よりは出来るし俺」

「はぁ?一言余計!」




その後もクラスは真面目なやつだらけでつまんないとか

愚痴を聞かされた。内心自分も真面目だろ!なんて思いながら



そして気が付けば生徒がぞろぞろと登校し始めていて


元から旬のクラスも数人勉強している人はいたものの


あたしたちのクラスよりは圧倒的にみんな登校時間が早く


でもあたしたちは前の扉の前で話しているのに


そんな姿誰も興味ないように、それぞれが一目散に自分の席についていた。




「じゃあ、あたしもそろそろ行くかな」


この少しの間、他愛もない話をしていただけだったけど


旬は案外悪い奴じゃなかった。


まぁそれは朝の段階でなんとなく気づいていたけど


普通に面白くて楽しい。


居候の人が極悪人じゃなくてよかったとホッと胸をなでおろし


その場を後にしようとした。そのとき


振り向きざまに『ドンッ』


「あっゴメン!!」

誰かと正面衝突しかけて

あたしは後ろの旬に軽く受け止められた。

旬の大きな体に一瞬だけすっぽりと収まり

思わずドキッとして慌てて体を立て直す




「お前あぶねーだろ」

後ろであたしの頭の上から

旬のあきれたような声が注がれる



一瞬、あたしに言ったのかと

状況的にもそう思ったけれど


その相手はあたしじゃなくて

目の前で両手を合わせた男の子だった