気が付いたら、好きになってた。



「おは...よー」


目覚めてすぐに、あたしは制服に着替え

いつもなら最後にセットする髪の毛も先に済ませ

軽くいつも通りのメイクをして1階に降りると


お母さんはゆっくりソファでテレビを見ていた



...珍しい、いつもばたばたしているのに


「あらおはよ、桃菜」

「あれお父さんと....旬、は?」


食卓に座り用意された朝ご飯を食べ始めながら

お母さんを見た


「それがね、もう家出て行ったのよ」


「...えっ?はや、早くない?」


時計はまだ7:30を指していた


家からなら徒歩で20分ほど。


8:30までに登校すればいいから、遅くても8:00くらいに出れば

余裕をもってつくことができる。


「それがね、旬くんなにやら少し早く行って朝勉強しているらしいの」


「えっ?!」


...嘘、でしょ?

アイツがそんな優等生みたいなことしてるの?


...いや、実際昨日初めて会ったばかりだから

まだよく知らないのも事実だけど


あの少しチャラっとした見た目と性格のやつが..?


「しかもその朝食、旬くんがほとんど作ってくれたのよ?」


「っっはい?」


思わず飲みかけた牛乳を吹き出しそうになった。



いやいや、待って、嘘でしょ?


メニューはスクランブルエッグやトースト、サラダに軽いフルーツと

決して難しいものではないけど


朝から全員分の朝食を?


「居候させてもらってるんで、朝ご飯くらいは作りますって言ってくれたのよ!しかも早く家を出て勉強なんて...旬くん見かけによらず頼もしい子よね!」


「...う、うん」


ちょっと、馬鹿にしていた自分を責めた。


まさかそんなに常識のある出来たやつだったなんて....


「だから今日はお父さんと同じ時間だったから車で送ってあげたみたいなの、でもまだ道はわからないだろうし...今度1度教えてあげるのよ」


「あー....うん」



あたしはいつもより少し早めにご飯を食べ終わると


そそくさと準備を終わらせ

いつもより15分ほど早く家を出た。


なぜだかわからないけど....体が勝手に動いたんだもん。