気が付いたら、好きになってた。


___コンコン


部屋でベッドにうつ伏せになりながら

エリカにLINEを返していると


ふいにドアがノックされ「はぁい」と

目線はケータイに落としたまま返事をした


「上がったからどーぞ」

すると


低くかすれた声がして勢いよく顔をあげるとそこには

お風呂上がりでぬれた髪をバスタオルで

クシャクシャにしながら立ち尽くす旬がいた



「ばっばか!突然開けないでよっ」

あたしはびっくりして体を起こし

ベッドに座りなおす


「返事したのお前だろ?アホか」


フッと余裕ありげに

まるであたしを見下したように笑うと

旬は「おやすみー」と言い残して部屋を後にした



....だからぁ、なんなのアイツ!!

なんでこっちのほうが気を遣って

落ち着いていられないわけ?!


自分の家なのに...





お風呂からあがっても、いつもはバスタオルを頭に巻いて

適当なジャージで家をウロウロしていたのに


変に旬がいると思うと気にしちゃって

クローゼットからお泊り用の部屋着なんかだして着て

髪の毛もすぐ乾かして、きちんとブラシでとかした。


結局そんな気の遣いは無駄だったかのように


旬はあれから一切部屋から出て来ることも

廊下でばったり会うこともなく



ただ1人で変に意識して

隣の部屋からたまに物音が聞こえるたびに

ちょっと緊張していたため


しっかり寝付けずに朝を迎えた。