沈黙の中____

先に口を開けたのは、彼だった


「なぁ」


「えっ...なに?」


あたしは自分の家ながら食卓の隅で

まるで彼と立場が逆転しているかのような


か細い声で彼を見た



「桃菜、だっけ?」


「あっうん...そっちは、旬だよね?」




あたしたちはさっきお互いの親の前で交わされた3つの約束を

おそらく思い出したのだろう



1つ 敬語禁止、あたしたちは名前で呼ぶ

2つ 遠慮しない

3つ 助け合う




「なぁ桃菜って何組なの?」

「3組だけど...」

「ふぅん」


旬は聞いてきたくせに興味なさげに、

明らかに俺お前のこと初めて見たと


言わんばかりの表情で視線をテレビに戻した



....くっそーーーなに!コイツ


いや、薄々最初の段階で気づいていたけどさ

なんかとっつきにくいタイプだなぁとは。



内心ムカムカしながらも


あたしはチラッと旬の横顔をみた



でも正直、最初に旬を見た瞬間は

そんな滲み出る性格の悪っぽさより


容姿にくぎ付けだった