「はぁ……。」


溜め息が出た。

さっきまでナオと2人で座っていたベンチに今は1人で座っている。


結局、オレ何も言えなかった………。




ナオがもっと嫌な奴だったら良かった。

もっと喧嘩腰に話をしてくれたら言えたかもしれないのに…。



自分の気持ちを認めるの遅すぎたんだ。


チサにナオと付き合っていいか聞かれた時に、嫌だって答えてたら…どうなってたんだろう?




だけど。

多分、何回あの時に戻ってもオレは「良いよ」って返事するんだと思う。

…チサが望むことだから。


だって、オレ気付いてた。

チサがナオの事を意識してるの気付いてた…。


高校に入ってから、チサの視線の先には、ナオが居た。


いつも一緒に居たから分かってたんだ。



…全部、知らない振りをしていた。


自業自得って言葉が今のオレにはピッタリだ。





はぁ……家に帰ろう。


疲れた。