「ねぇ、聞いてる?」


「あ、ごめんごめん。今意識飛んでた。」



小さく笑うユカコ。


「だからね、アズミが今日から出て来るって。」



アズミはチサとユカコと同じクラスで、高校に入ってからチサが仲良くなった友達だ。


チサの周りに居たオレもいつの間にか友達になっていた。


「アズミ?休んでたの?」


「うん。知らなかった?インフルエンザで10日間位休んでたんだよ。」


「へぇ。知らなかった。クラス違うからな。」


「チサにしか興味無いもんね?」



ちょっぴり意地悪そうに笑うユカコ。



こいつ……。


意外と痛いとこ突いてくるなぁ。


でも、確かに。


チサが居なかったら、ユカコともこういう風に話す事無かっただろうし、アズミとも知り合いにすらなってないだろう。



「アズミ、チサが上原君と付き合い始めたって知ったら怒るだろうなぁ…。」


ボソッと呟いたユカコ。


だけどその声は、バスが学校前に到着し周囲が動き出した為、オレの耳には届かなかった。