オレが2人を見ながら固まってるのを見て、セトが口を挟んだ。


「はい。そこまでー。もうチャイム鳴るよ?」


ナオの腕を掴まえて、教室の中に誘導するセト。


「チサちゃん、また後でね~。」


「ちょっ、セト!そんな引っ張るなよ。」



そんな様子を見て、チサも自分の教室へと向かった。



「あっ。」

何かを思い出した様にチサが振り向いた。



ジトーっとオレを見つめる。



「…食べたよ。」



何にも言わないチサに、ぶっきらぼうに伝えた。


あ、チサ嬉しそう。

言いたい事、理解したみたいだ。


「全部?」


「全部。残さずいただきました。」


「本当に?」


「男子高校生の胃袋舐めんなよ?」


「…ふ~ん。じゃあね。」



オレに緩んだ顔を見られたく無かったんだろう。


クルッと向きを変えて、急いで自分の教室へと入って行った。



お互い、無理に謝らなくても今の感じで仲直り出来てる。


オレ達はこれで良いのになぁ…。