そのとき。
「もえーーーっ。」
やけにうるさい声が飛んできて、どどどどっと海央たちが走ってきた。
「おー、やっほー。」
3人は、両手にヨーヨーだのわたあめだのチョコバナナだのをいっぱい抱えている。
「ずいぶんエンジョイしたね。」
「あったりまえよ!
…え、てかなんで萌黄1人なの?」
「確かにー。一緒に来たっけ?」
梨香子と佐奈の言葉に、あれ?そういえば…と不安になる。
確かに。
あれ??
「え、海央たちとなんで来なかったんだろ。誰かと来てたっけあたし?」
「さあ…?」
「え、怖くない?まあ、あたしたちと来ててはぐれたんでしょどーせ。楽しみすぎて忘れたんだよみんな。」
海央が雑にまとめ、梨香子が顔をしかめる。
「はー?おかしすぎでしょそんなん。みんな萌黄のこと忘れたの?」
「…さあ。まあ、いいっしょなんでも。よっしゃ、ラストスパート楽しもーぜい!」
今度は佐奈が雑にまとめ、あたしたちもそれでいーかと特に気にせず、がはがは笑いながら歩き出した。
「…ん?なんか萌黄右手あったかくない?」
歩きながら手が触れたのか、右隣の佐奈が言う。
「え?」
その言葉に、海央があたしの両手を取る。
「ほんとだ右手だけなんかあったかい。左手普通だけど。なんか人肌?っぽいじんわりしてる温かさ。」
「え、怖っ。なにしたん萌黄?」
「なんもしてないわっ。気のせい気のせい。」
自分でも右手をよーく見るけど、何もなかったしやっぱり気のせいだろう。
「あ、そ。じゃー金魚すくい行こーよ!」
「いいねぇー!」
「あたし不器用だから梨香子やってよね。」
「えー、佐奈意外と行けそうじゃん。」
「無理だし〜。」
あははは、と、楽しい笑い声が上がった。
