言えた、………。
昴は、目を見開いてる。
すごく。
長く。
バクバクする心臓が抑えきれない。
頭に血が上った感じ。
早く、早く、答えて。
花火はまだ終わらない。
やがて、昴がすっと微笑んだ。
優しく。
「…俺も。」
「昴…。」
ほんとに?夢じゃないよね?
昴が、俺もって言ってくれた。
「ありがと………嬉しい。」
なんか、それ以外に言葉が出てこない。
「…俺も、ずっと萌黄といるけど、萌黄の大切さがわかってなくて…だけど、亜時で1人になって、お前が大切だって、やっとわかった。
お前が好きだって。」
ううう…。
気づいたら、すごい勢いで昴に飛びついてた。
人目もはばからず。
3人もたぶん見てるけど。
昴は、びっくりもせず受け止めてくれる。
「…おせえよな。」
肩越しに聞こえる声。
「ん?」
「もうこんなんなってからさ、やっと言うなんてな。」
「…確かにね。だけど、今ちゃんと言えてよかったよね。」
消える前に。
お別れする前に。
忘れる前に。
「…だな。」
頭上では、とびきり大きくて華やかな花火が上がったところだった。
まるで、あたしたちを祝福するみたいに。
なんつって。
そのうち、そーっと2人の体が離れる。
周りの人が、チラチラとあたし達のことを見てるのが目に入った。
だけどそんなの今はどうでもいい。
視界に入るのは、昴だけで十分。
それから、どちらからなのかわかんない。
自然と、また2人の距離が縮まって、顔が近づいた。
間近で見る昴の目はすごく優しくて、包み込むようだった。
唇が触れた。
今日一番の花火が上がった。
