ふぁ〜、お腹いっぱい…。
「やばい、お腹が来たときの3倍かも。」
ちょっときつくなった帯をぽんぽん叩きながら言ったら、昴がじっと見てきた。
「5倍だろ。」
「うるせ。」
しょーがないじゃん、りんご飴の後もめちゃくちゃ食べちゃったんだから。
もう何食べたか覚えてないけど…。
あーあ、梨香子たちに怒られる!
もーいいいや。
知らんこっちゃないわモテクとか。
「そろそろ花火みたいだぜ。」
花火…!!
はなび…!!!
「ひょえええええ…!!」
げ。
また奇声を…。
「な、なんだよ、」
「い、いや、いよいよだなって…。」
「そこまで楽しみにしてたのか?」
「い、いやそりゃあねぇ!だってキレイじゃん!ね?」
「まあな。」
ふへーっ。
緊張しまくりでしょあたし。
いくらこの後キスするからって。
…キスするからって……。
え、ほんとにするの?まじで言ってんの?
不可能でしょ無理でしょできないでしょありえないでしょ。
いやいやいやいや!
ええい逃げるな!こうなったらもう勢いで!流れに身を任せて!
うわああああだけどだけど!
持ってきた巾着をぶんぶん振るあたしを、昴は何も見えてないかのように無視して歩いてる。
さ、さすが、あたしの扱い方を分かってらっしゃる…。
って、ちゃうわ!
おい昴!
人の気も知らずにのうのうと歩きやがって!
あとでぎゃふんと言わせたたる!
あたしだって女なんだから!
…たぶん。はは…。
