心で叫ぶ、君のこと








…わかんない。
わかんないよ。
何言ってるのか、わかんない。


「…うそでしょ、?」

なんでこんなに声が震えてるの?
嘘に決まってるでしょ。
そんなことあるはずない。
昴の作り話。今までの、全部。
大丈夫。





なのに、、なのに!
昴、なんでそんなに悲しい顔するの?あたしが見たこともないような顔するの?



笑ってよ。




笑って、ひっかかったかばぁかって言ってよ!





はやく…、




はやく、ばかとかあほとか言いながら数学教えてよ!!



…ねぇ……。







「…いつ、常時が無くなるかわからない。けどたぶん、計算するとあと三ヶ月くらい…。」


「そんな……。」




夢?

なら覚めて。早く。


なんで、なんで、いつまでもあたしはここにいるの?
つねったほっぺが痛いの?



昴がいなくなる?




なんてそんなん、むり。




わかんない。




わかりたくもない。


「…なんで、昴だけなの?」




不公平だよ、あたしも昴と一緒に行くよ?




海央や梨夏子や佐奈や…みんなで一緒に行こうよ、!




「…常時に生まれるか、亜時に生まれるか、なんだ。生まれる前は、誰にだって常時と亜時がある。

だけど、亜時はすごく短い。一瞬で終わる。
その一瞬の間に生まれた奴が、俺みたいになるんだ。」




「…じゃあ、あたしは、どうすることも出来ないの?」





昴がちょっとずつちょっとずつ姿を消していくのに、あたしは黙って見てることしかできないの?





「…ああ。もう、どうにもならない。





昴は低い声で言って、ゆっくり立ち上がった。



「親は、俺が亜時で生まれたから、俺のことがわかんないんだ。
産んだ記憶ごと抜けてる。
俺も、両親が誰なのか、どこにいるのか全くわかんない。」





「あ…。」




そんなことって…、



昴は、生まれてからずっと一人ぼっちだったの?



家族が誰かもわからないの?





「…そんな俺がここまで生きてこれただけでも感謝しなきゃなんないんだ。だから、亜時では1人だけど…仕方ないんだ。」





まるで自分に言い聞かせてるみたいに言って、あたしの隣に座った。





「…だけど、、…ごめん…。今まで萌黄に黙ってたし、嘘ついた。」




「昴…。」





ごめん、とか言わないでよ。。



あたし、無理だよ…。



昴がいなくなるなんてやっぱり絶対信じられないし、こんな悲しい状況になってるのも嫌だ…!





「…謝んないで。昴悪くないから。しょうがないんでしょ、。あたし大丈夫だから。」


自分で何言ってるのかわからない。




気がついた勝手に立ち上がって、ふらふらとドアへ向かってた。

「…萌黄、」

「…帰る…」

間髪入れずに閉めた扉の向こうで、昴が何か言ったのか、何かしたのかわかんない。



ただぼんやりと、ぼんやりと、気がつけば自分のベッドに倒れ込んでた。


「意味わかんない、わかんないわかんないわかんないわかんない!!」


ドン、ドンとまたベッドを叩くけど、

そんな自分が虚しいだけ。


前とは比べ物にならないくらい。





亜時…?常時…?



ふふっ…


なんか笑えてきた。

昴は何をバカなことを言ってるんだろう?


幼稚園が一緒で、仲良くなって、小、中、高とずーっと隣にいて、これからだって…。
そのはずだった。


なんで?



どうして?



昴はずっと苦しんでたの?



どれほどの辛い現実と立ち向かってきたの?



言えないでいたの?


あたしに何ができたの?




昴が消えたら、あたしどうなるの?


ハテナマークだけがぐるぐると頭を回る。





涙なんて出ない。



心が、まだ許してない。



泣いちゃダメって言ってる。




しっかりしろって。



違うかもしれないじゃんって。





…違くないよ。



それくらいわかる。
あの顔、あの声…





それくらい、わかるんだ。





あたしには、本当に何も出来ないって。