「はーい、こっち向いてー」

「お、いいね。その表情。そのまま___」

小さい空間に人々の声、シャッター音、フラッシュなどで賑やかな空間に包まれている。

そんな中、一人だけ明らかに違うオーラを放つ少女が立っている。
少女はシャッター音とフラッシュを浴びたら次のポーズ、また次のポーズと決めている。

「そろそろ休憩入りまーす」

どこからかそんな声が聞こえた。
瞬間、人々はバラバラと休憩に入っていく。

私、栗宮蘭もその一人。

「ふぅ~…」

一息つきながら用意された椅子に腰かけ、携帯を触る。

「あ、莉子からLINE来てる」

今日は丸一日仕事で、マナーモードにしていたし、休憩も少なかったから気づかなかった。

メッセージを開いてみる。

《蘭~!私今仕事終わったんだけど、蘭は?
確か撮影場所近かったよね?よかったら一緒に帰ろうと思って!》

時間を見ると、つい先ほど送られてきたらしい。
私の仕事ももうすぐ終わる。

(この頃莉子とあんまりゆっくり話せてなかったし…。せっかくだし、一緒に帰りたいな)

《私ももうすぐ終わるよ。うん、一緒に帰ろう!じゃあ、駅前に喫茶店あったよね?あそこで待ち合わせしよ!》

と送る。
すぐに既読がつき、了解と返事が来た。