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『あたし、高松先輩のこと、好きかもしれない』
高校に入学してから一月が経った、5月の始め、奈々は真司の部屋でぼーっとしながら呟くように爆弾発言を落とした。
『………え?』
真司は空耳かと思って首を傾げると、奈々は体育座りを崩し、読みかけの漫画を持つ真司へと身を乗り出した。
『高松先輩。陸上部の』
『いや、高松先輩のことは知ってるけど』
『じゃあ、なに?反対するの?』
『奈々がそんなこと言うのって初めてじゃないかって思っただけだよ』
奈々とは昔から一緒にいるが、話の中で色恋沙汰の話題にはなったことないし、そもそも恋愛に興味がないと言っていたような気もする。
ただ、奈々は大人っぽい顔立ちと身体付きなので、男子から人気がある。だから告白されたりは頻繁な出来事なはずだ。
『高松先輩が、初恋じゃないけどね』
『あ、そう。ちなみに好きになった理由は?』
『うーん、理由。
なんかね、ビビっ!って、運命を感じたの。高松先輩を見た途端、ああ、この人だって本能が……って何言わせてんの恥ずかしい』
奈々は真司の首元へ視線を下ろした。その時、耳が赤くなっているのが確認出来て、ドキリとした。
『応援、してくれる…?』
か細い声。
『お、おー…』
それから、奈々が高松先輩と付き合い始めたのはたった1週間後のことだった。


