自室の窓の外を見ると、しとしとと雨が降っていた。じめじめ湿った空気を肺に吸い込み、そして吐く。その動作さえ気怠く感じて、真司はとうとうシャープペンをノートの上に放った。

 梅雨なので、雨の日が続いている。淀んだ空から注ぐ雫。雨は嫌いではないが、こう降り続くと気分が悪い。

 真司は椅子から倒れるようにして、隣接するベットへ寝転がった。手のひらを天井に向けて、広げたり閉じたり力無く動作をする。この行動自体に意味は何もなかったが、真司は鮮明に覚えている“熱”を感じていた。


 その熱の原因、奈々と連絡が途絶えたのは、この連続として降る雨が、丁度降り始めた日だった。