上手く、目があけられない。


声を出したいのに出せない。


でも、分かった。


もう、死んじゃうんだね。


早かったな。人生。


「りこ?りこ!」


あきくんの声。泣いてるの?


「りこ!まだ、行かないで!!」


杏。泣かせてごめんね。


周りからすすり泣く声がたくさん聞こえる。


みんな、泣かせてごめんね。


なんだかね、すごい疲れちゃったみたい。


「あ…きく…ん」


やっと声がでた。


「…な…に?」



言いたい事たくさんあるのに。


「あ…きく…んあき…く」


名前を呼ぶことしか出来ない。


「なんだよ…。」


泣き笑いしながら返事をしてくれてるのが分かる。


「あ…きく…ん。あ…ん、お父…さん、おか…さん、み…んな今ま…であり…が…とう。私ね……幸せだった…。」


そう言って私は瞼を閉じた。