「落ち着いた?」


あれから、杏が保健室に連れてってくれた。


幸い誰もいなくて美織先生が、何かを察して「授業には戻りなさいよ」って言って、2人だけにしてくれた。


「なんで、泣いたのかだいたい分かる。」


そういう杏の言葉にはため息が混じっていた。


「後悔…あの日、後悔しない?って聞いたよね?そしたら、りこ、しないって答えたよね?」


「……」


「今のりこは中途半端だよ…。ほんとは、滝が好きなくせに、大好きなくせに病気を言い訳にして逃げてるだけだよ。」


「逃げてる…?病気なんだもん、もし、告白してOKもらっても、どうせ死ぬから!!そんなの一緒にいたら迷惑でし」


「誰が迷惑って言った?!ねぇ!滝が言ったの?!なら、私だって一緒じゃん!どうせ死ぬんでしょ?迷惑って思うならなんで、私とは一緒にいるのよ!!」


「それは……」


「結局、怖がってるだけじゃん!!逃げてるだけじゃん!!病気って言う盾に隠れてるだけじゃん!OKされても、死んじゃうかもしれない。けど、それでも!滝は嬉しいと思うよ!幸せな時間を、自分の最後の時間を自分にくれて!私だったらすごい嬉しいよ!!今、この時間もすごい嬉しいよ!りこと過ごせてる時間が1番、幸せだよ!」


「……」


言葉が、でない。


そうだ。私は、いつだって病気だからって言って誰とも関わろうとせず、自分から武器を持つことをしなかったんだ。
私の親友はこんなにも私と過ごす時間をくれてるのに、こんなに、私のために泣いて怒って喜んで笑ってくれてるのに…。


私は、何をしてるんだろう。


「ねえ、りこ。」


その声は涙声だった。


「大丈夫だよ。」


…………。


"パリン"