《りこside》


真っ白な廊下。


静かな、部屋。


こんなところ、来たくない。


「羽田さーん。羽田りこさーん。中へどうぞ。」


受付の人の甲高い声が響く。


私は、そっと診察室のドアを開けた。


「失礼します。」


「こんにちは、どうぞ」


この人は私の担当医の溝端功(みぞばた こう)


若くて、イケメン。


だけど、医者としての才能があるらしい。


「あれから、体調は?」


「別に、普通です。」


そんな、毎週来たって体調なんか変わらないのに。


「ん、そっか。とりあえずMRI検査しよう。」


また。


忙しく、時計だけが回り出す。


電子機器の音が、うるさい。


いつまで続くんだろう。


「はい、終わったよ。待合室で待っててね。」


「分かりました。」


わたしは、静かにドアを閉めた。