それにしても、落合くんに授業の様子を聞かれてるって思うと、どこか集中できない。まるで、小学生の時の授業参観と同じ気持ち。



お母さんにいいところを見せようとして、頑張って手を挙げて発表しようとしてたけど、それが間違っていたらどうしようとかそういうことまでは考えていなかったあの頃を思い出す。



「おい、財満。聞いてるのか?」



「す、すみません! どこでしたっけ?」



再び先生の教科書が脳天にヒットする。でも、こういう扱い、嫌いじゃない。Mとかそういうことじゃなくて、歩けなくなってもこうやって相も変わらずに接してくれることが嬉しいのだ。



人は誰しもできないことの一つくらいはある。私の場合、それがただ歩けないだけ。