屋上の扉に手をかけると、そこには私のことを一番に想ってくれている人、いつも私のことを気にかけてくれている人が屋上の柵にもたれて、「よっ!」と右手を挙げていた。
「遅かったじゃん。」
「しょうがないでしょ。だって、歩けなくなってから初めて自力で、ここまで上って来たんだから……。」
屋上はすっかり夕日に染められていて、いつもと同じ夕日。でも、どこかいつも以上に綺麗に見えた。
「それで、オレの大事なギターは……ちゃんとそこにあるみたいだね。」
落合くんは私に歩み寄って来て、ギターケースを受け取った。それから、ケースを開けて、アコースティックギターを取り出した。
「財満さんがここに来たってことは、ギターを返しに来たってことだよね?」
「……うん。」
「ということは、もうギターはやめるってことだ?」
「……うん。」
「じゃあ、やめる前に1曲聴かせてくれないかな? この数日間、財満さんの努力の証をさ。」
私は黙って頷いて、落合くんからギターを受け取り、その場で胡坐を掻いて、もうすっかり慣れたチューニングを済ませた。
初めは、Em。私の初めて覚えたコードをジャーンッと鳴らした。そして、大きく息を吸って、歌った。
「タイトルは、『車椅子ラブソング♪』。」



