でも、私は今、誰のために歌っているんだろう。誰に聴かせるためにギターをかき鳴らしているんだろう。



「太陽は動かない」の曲にわざわざ歌詞までつけて歌っている平日の昼間、部屋に一人。



私の努力を披露したい人はもういない。



私の気持ちを伝えたい人はもういない。



私の方から離れて行ったようなものだ。



あんなに大好きだったのに、どうしてあんなことを言ってしまったんだろうか。あんなに大好きだから頑張れたのに、大好きだった人を失った今、こうやってギターをかき鳴らすことに何の意味があるんだろう。



何の意味もない。何の意味もないことをただがむしゃらにやっていると、ただただ疲れるだけ。



せっかくアコースティックギターを貸してくれた、弾き方を教えてくれた落合くんに申し訳ない気持ちになった。



近いうちにギターを返そう。取りに来てもらおう。そして、何もかもすべて終わりにしてしまおう。そう思いながら、ベッドに横になって、眠った。