「なあ、次の角ってどっち?」 私は黙った。もうこれ以上、落合くんに迷惑はかけたくない。 「大丈夫。ここからは一人で帰れるから。」 私は落合くんに手を差し出して、カバンを返すように促した。でも、落合くんは突っ立って、腕を組み、目を閉じた。私にカバンを返そうとしない。 「落合……くん?」 「シーッ、静かに。」 落合くんは、「うーん。」と唸りながら難しい顔をして、それからパッと目を見開いた。 「右だ!」