その頃には少し辺が明るくなっていて、雨もいつの間にか上がっていた。

あたしは濡らしたリボンを急いで彼のところへ持っていき、そっと彼の頬に当て血を拭った。

彼は気を失っていて何も反応は無い。

あたしはそのリボンをもう1度洗い直し、今度は彼の手の甲へと縛り付けた。

よし。これで少しは大丈夫かな。

あたしはまだ気を失っている彼を見つめた。

光に照らされる短髪の茶色い髪、伏せられた長いまつ毛、薄い唇、彫りの深い顔。

誰もが思うだろう。完璧に整っていると。

あたしの顔を太陽の光が照らして、あたしはふと我に返った。

あたしは右の手に付けている腕時計を見た。

時計はもうすぐ6時を指そうとしていた。

「や、やばっ!!」

あたしは急いで自転車置き場まで戻った。

自転車に跨ってあたしは彼のいる方を見た。