自転車置き場に戻り、あたしは自転車に跨ろうとした。

その時にあたしの目の隅にある光景が映りこんだ。

それは霧がかかっていて薄らとした見えなかったが、確かにそこには人がいた。

いや、いたと言うより。

……人が倒れていた。

あたしは少し躊躇いながらも近づいた。

そこには、トイレの前で口から血を流している男の人がいた。

「っ…!」

あたしは初めて見る光景に声も出せず、手で口を覆った。

死んでるの…?

これって、殺されたの…?

警察に連絡した方がいいの…?

あたしはその光景にどうしていいか分からずただ見つめる事しかできなかった。