二人は、ひらひらと手を振りながら次の種目の場所へと移動しに行ってしまった。


「…………」


絆奈のバカああ!!


どうして千載一遇のチャンスをいつもいつもつかめないの!!

せっかく話しかけてくれたのに…!!


「うう……」


もう、帰りたい……。

大人しく、グラウンドの隅の木陰で競技を見守ろうとしたとき。


「絆奈ちゃん」


聞き慣れない声で、名前を呼ばれたのでした。


「は、はい!?」


つ、次こそは!!!

そう思った勢いで、つい大きな返事をしてしまった。

そう、これが高橋絆奈。
何度やってもチャンスを物にできない生き物なのです。

もはや、生きる資格なんて私にはもう……。


「? 何一人でぶつぶつ言ってるの?」


くすくすと、小さく笑いながら話すかわいらしい声。