「このまま力尽くでも絆奈ちゃんのこと全部奪ってやりたいところだけど」
私の様子に気づいたかいとくんは、頬杖をついて優しげに微笑んだ。
「やっぱりどうしても、絆奈ちゃんに『好き』って言われたいから」
「え……」
それに、と、付け足すかいとくん。
「泣きそうな絆奈ちゃんも、怯えてる絆奈ちゃんもそそるけど」
ソソル!?
何言ってんのこの人…っ!?
「この間みたいに、楽しそうに笑ってる絆奈ちゃんの方が、すごく好き」
「え…っ」
ぽんっと頭に乗せられたかいとくんの手は。
思ったよりも大きくて、思ったよりも力強くて。
図書室が静かなところだから余計に…どきんと鳴った胸の音が、徐々に大きくなっていくのがわかった。
どうかかいとくんに、聞こえていませんように…。



