断る理由は…ない。
―――いや、ある!!
でも、まさか、『かいとくんと一緒にいるとみんなの視線が痛いのでお断りさせていただきます』なんてこと言えないし…。
第一、そんな長い台詞、なっちゃん以外の人にこのあたしが言えるはずがない。
「……」
かいとくんを前に、なすすべもなく、ただうなずいた私だった。
「偶然こんなところで居合わせるなんて、僕たち運命かな」
私がうなずくと、嬉しそうに筆記用具を取り出しながらかいとくんはそう言った。
―――コトン…
すると、かいとくんの鞄から何かが机に墜ちた。
なんだろう。
棒のような形。
半分から先は、布で覆われている。
「絆奈ちゃん、それ、触らない方いいよ」
拾おうとしたとき、かいとくんにそう告げられ私はその手を止めた。
代わりにかいとくんがそれを持ち、くるくると布を取る。
中から姿を現したのは。