「やややや、やめてください……!!」

メモ帳を読み上げようとしたかいとくんに、私はつかみかかった。
そして、彼の持っているメモ帳を取り上げようとした。

……が。


「っわ……!!」


“急に動く”という慣れない動作をしたが為に、バランスを崩した私。


「おっと」


そして、うまい具合にひらりと体勢を整えたかいとくんの腕の中に、見事なまでに収まった。


「~~~~……っ!!」

「あー…もう……」


しかもかいとくんは、その細い腕でぎゅっと私を抱きしめる。


「僕、今この世で一番の幸せ者……」


まるでスポットライトでも当てられているかのように、天井を仰いでじ~んと目を閉じるかいとくん。

おおおお、男の人にダキシメラレテイル……!?


「あ…あ………」

「きず?」


だ、だめだ…

は、は、離して~……!!