*海音side*

「おーい、バカイトー?」

「どうした、いつも以上にずもももってしてるぞ?」


机に突っ伏したままの僕に、凛と雷飛が必死に呼びかけてくる。
太一は、絆奈の友達Aと一緒に帰ったようだった。


「…ほっといて。もう僕はこれから死ぬんだから」

「はあ?」

「お前、絆奈さんと何かあったのか」


雷飛の言葉にびくりと肩をふるわせる僕。

そんな僕を見て、凛は僕の肩にをっと手をおいた。


「そうか…ついにフラれたか…!!」


―――ズキッ


「安心しろバカイト、俺たちがついてる」


―――ズキズキッ


「また別の子を探せばいいだろ?」


―――ガタンッ


僕は、音を立てて立ち上がった。



「無理。別の子とか」



それだけ言って、ふらふらと教室を出た。


「「………」」


そんな僕に、二人は何も言えない様子で、じっと僕のことを見ていた。