「あのね、知ってる?ショーマクン」
「わ……っ」
かいとくんの腕が急に私に伸びてくる。
と、思ったとき。
彼は、ぐいっと私の肩を抱き寄せた。
反動で、私の体が海音君にもたれる形になる。
「僕ね、『絆奈ちゃんの隣じゃないと力が出ない病』なんだ」
「んな病気あるか!」
太一君に変わって、橘君がすかさず突っ込んだ。
ただ一人、一条雷飛君だけは呆れたように事の成り行きを見ている。
「か、か…かいとく……!!!」
離してくださいと言いたいのに言葉が出てこなくて息ができなくてああもう私死ぬんだと思ったときだった。
「あ」
彼の、黒くて長めの前髪から覗く綺麗な碧色の瞳に、私の驚きに満ちた顔がはっきりうつる。
すると、彼はにっこりと微笑んだのだった。
「初めて僕の名前、呼んでくれたね。絆奈ちゃん」
「……っ」
そんなことよりも…離して~!!!!!!



